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木地の作り方:その1(原木から鋸での板木地作成まで) その2(鋸での駒形から駒木地完成まで)へ

原木が根っ子の場合

1.根っ子の分割準備

使用工具:手鋸、チェーンソー等

帯鋸で切断出来る高さまでに手鋸やチェーンソーで原木の 高さを揃える。

2.根っ子の分割

使用工具:帯鋸
 根っ子の安定した面(イラストでは年輪側)を帯鋸の
テーブル側にして切断する。
出来るだけ切断位置は年輪の中心を通る方が良い。
根っ子の
送り出しは、ゆっくり慎重に!
注意:根っ子が安定していないと帯鋸の刃が根っ子に食いつき根っ子が飛び出す事もあり非常に危険である。刃の食いつきは2万円ほどの刃をダメにする。

3.輪切り

使用工具:帯鋸 、丸鋸 等
 分割された根っ子の半径と丸鋸の切断高さ能力によるが、丸鋸で可能な場合もあるが、安全性を考えると帯鋸での作業を推奨する。
 作成する駒の高さ寸法によるが私は35mmから
40mm厚の輪切りにする。

4.輪切りの完成→みかん割り
 以降の作業は幹からの場合と同様で大きさにより2、3分割しておくと次行程がやりやすくなる。

電動工具は使用を誤ると非常に危険である。作業には充分過ぎるぐらいの注意が必要

 


 

 

 

原木が幹の場合  

1.輪切り準備

使用工具:帯鋸、スライドジグ

通常原木(丸太)は1m程度あり重量も有るので帯鋸のテーブル上を丸太を載せまっすぐスライド出来るジグを考案する必要がある。
この作業は、2名以上で行うことが望ましい。

 

 

2.輪切り

使用工具:帯鋸
 
 
帯鋸のテーブル上のスライドジグの上に丸太を載せ、しっかり丸太を押さえながらゆっくり送り出し切断する。

作成する駒の高さ寸法によるが私は35mmから
40mm厚の輪切りにする。

 

3.輪切りの完成→みかん割り
 以降の作業は根っ子からの場合と同様で、
輪切りの直径の大きさで4、6分割しておくと次行程がやりやすくなる。

みかん割りとは
 みかんの皮を剥いた時、中身の房が並んでいる様子に似ていることからこの名称となった。
柾目を多く作りたい時に用いる切断方法。

 

 木地の作り方の前に2011年1月に購入した原木が届いたときの様子を含め原木の処理方法から駒形への切断までを少しユーモアを交え説明したいと思う。

 但し、この木地の作り方:その1では、かなり1危険な作業が含まれるので、今後木地作りを考えている方は、写真及び注釈を参考に安全な作業をしてほしい。私自身が一番注意していることは作業内容ではなく、以下の4項目で作業前、作業休憩時にも確認することにしている。1.作業が残り105%程度になったとき.体調(特に眠気) 3.焦り(失敗したとき、時間に追われること) 4.悪い意味での「慣れ」  

 既に何本かは運び出したあとだが、車中の原木の様子を写真に撮らせて貰った。

 友人の蜂須賀さんにも急遽「原木が届くんだけど見に来ない。めったに見られないよ」などと結果だましたようになったが、わざわざ千葉から来て貰った。氏には二日間に渡り重労働を強いてしまい大変申し訳なかったと反省している?

 自宅前の道が狭いので台車に載せて運んでくれました。申し訳なく思っています。

 いわゆる従軍カメラマンとしてお願いした荒川さん。通いで三日間、重労働?と写真撮影。一寸軽そうな原木ですが余裕の笑顔で運んでくれました感謝。

 筆者のへっぴり腰に「おじさん腰が入ってないよ」などとXX氏に云われ運送屋さんも思わず?ニッコリ。

 ガレージの車を親戚へ疎開させ、黄楊の原木置き場兼作業場に早変わり。下に敷いたブルーシートは万一の雨と作業後の清掃容易化のため。

「今回の木はどうかな?」と一応、格好つけて観察中。この後、同じ原木ごとにまとめ次の作業に備える。

一本の原木を約1mほどに切断して送ってきます。今回は根っ子が着いた物を含め4本と5本に切断されていた。

木口に記されたアルファベットは同一原木ごとに記されている。

原木の周囲に苔?等が見え湿気の多い所に生えていたのかも知れない。ちなみにこの木は天然木とのこと。

 

根っ子の切り離し

1.   1.切断場所のマーキング

 根っ子の切り離し位置は,次行程の機械の性能によるが私の場合切り口から根っ子の先端まで30cm以内にする必要がある。輪切り作業に影響するので慎重に位置を決め、切り口が平になることが重要。

 切断場所を円周上にフエルトペンでマーキング。大型チェーンソーなら円周上のマーキングは不要かと思うが、私のは直径130mmまでしか切れない小型の物なので一周マーキングした。

2.チェーンソーでの切断

 作業は帯鋸で行いたいところだが作業台での原木の安定性が得られない為、仕方なくチェーンソーで行った。

太く硬い黄楊の原木を小さな電動チェーンソーで切断するのはかなり危険な作業であったと感じた。

 

 やっと切り離された根っ子の部分。まあまあの切り口で満足。

 綺麗な切り口で、まるで弓の的のよう、素直な柾目が取れそう。

3.   3.根っ子の土石の除去

 マイナスドライバーや金属ヘラなどを使って根っ子に詰まっている土や、石を取り除く。この作業は大変重要で石や土が詰まった状態のまま鋸を当てるといっぺんに歯が痛み、酷い時には火花が散り全く切れなくなってしまう。

 

帯鋸の作業前準備

 帯鋸付近の作業スペース確保。
本体としては、
@ベルトの歯こぼれ、亀裂の有無確認(実際経験している)
Aベルトテンションの確認
Bブレーキの作動確認

程度であるがどれも安全性の問題なので必ず実施すること。

 

幹部の輪切り(35-40mm厚に)

 写真で分るかと思うが原木は長いので通常の帯鋸では、ベンチの大きさからして一人作業は無理、原木を切る作業者とサポート作業者が必要。

 

 サポート作業者は、出来るだけ切断速度に合わせ原木の端を移動させていく。移動速度が早すぎても遅すぎてもベルトをよじる形になり危険状態となるので充分気を付ける必要がある。

 帯鋸のベンチ上に見えるベージュのテープは、敷居滑りである。又原木とベンチの下にある板は原木をスライドしやすくしている為に敷いている。

 原木がベンチ上に載る程度になれば一人作業となる。

 切り出した輪切り。底部がカットされているのは、輪切り時原木が不安定だったため切り落としたためである。

 原木が小さくなってくると押さえにくくなり危険が増すので、縦半分に割りそれを輪切り(半円形)にする。

 切り出した輪切り。切り口にある黒点は「しみ」で有る。

根っ子分割

根っ子の縦割り

 根っ子の輪切りは、幹部と異なり縦割から始める。

1.   1.根っ子の切断面を下にベンチに置く。

2.帯鋸をONにし回転が安定したら根っ子を両手で支えながらゆっくり押し出すように切り始める。

 

 写真は、帯鋸歯が原木に全て隠れた状態で、このときが作業者としては一番恐ろしい状態。

 物によっては木が締まり、ディスクブレーキのように鋸歯を締め付け、酷いときには帯鋸を止めてしまう。よって作業者は、モーターの回転音などに注意を払い「回転数が落ちそう」と感じたら材料を手前に引き鋸歯から離す。再度同じ所から歯を入れることで締まった部分を切り取り切り口を広げ作業を続ける。

 今まさに、根っ子が分割されようとしているところ。このとき材料が歯の方に倒れないように注意しながら材料を取り出す。
取り出すといっても、具体的には材料を帯鋸歯から、左右に離す。
作業場が広く人手が有れば,機械の後ろから受け取って貰うと安心である。

 無事縦割り完了

 切り口の黒い筋や小さな点はいわゆる「しみ」で大きな黒筋や点は虫食いの跡である。

根っ子分割の補足説明

 2008年11月に輪切りにした根っ子を説明用に組み上げたもの。
 位置関係は下側が地中に埋まっている部分。

 根っ子の分割は、前述のように天地を逆さにし帯鋸のテーブルに安定した状態に根っ子を置き縦に2分割する。

 2分割した切断面をテーブル側にして輪切りにする。

 輪切りが大きい場合には、次行程のみかん割りをこの時点で行う。
 理由は、
1.乾燥により輪切りの切断面が反ったり、凸凹になったりして均一な厚みにならず上手く板木地に出来ない。
2.板木地加工の道具が丸鋸だと長い物を切りにくく危険である。

乾燥による変形

 左の写真は、根っ子を輪切りにしてから約16ヶ月経過したものである。

 乾燥が進むにつれ年輪を中心に縮み、切断面が大きく反ってしまっている。

 

 根っ子の輪切り(35-40mm厚に)  

 2分割した切断面をテーブル側にして輪切りにする。

 前の写真で縦割りされた根っ子を幹部と同様に輪切りにする(35-40mm厚に)

 根っ子や幹の太い部分の輪切りは次行程のことを考慮し、帯鋸が使用できる間に有る程度みかん割りにしておくと良い。

 私の丸鋸は、直径が180mmと小さめなので大きい輪切りをみかん割りにするのはかなり厳しい。
 出来ればみかん割りは、切り口が綺麗なチップソー付の丸鋸で行いたいのであるが安全性などを考慮すると大きい物は帯鋸での作業を薦める。

注意)分割直後の輪切りやみかん割り材は決して直接風に当てないこと。急激に表面が乾燥し結果年輪の中心から放射状に細かいひび割れになることがある。

乾燥/保管

板木地、輪切り いずれも乾燥/保管はかごに入れ室内で行っている。

物置などで保管すると、かごに入れてあってもカビが生えたりひび割れが発生することもあり、場所が許される限り目の届く所としている。

丸鋸の準備

@良く切れる鋸歯を入れる。
 これはとっても重要で、歯が切れないと年輪にそって曲がって切れたりするし、切れない刃物は手に力が入り大変危険である。
A鋸歯がしっかり取り付けられているかの確認

その他としては、
B内部の清掃やスイッチ部の点検ぐらい。

 私の丸鋸は、粉塵対策のため掃除機で内圧を下げるようベンチ台の周囲を囲ってある。

 

 

みかん割〜板木地作成

使用工具:帯鋸 、丸鋸、厚さを決める突き当てジグ 等
   この作業は、人によって異なるところであり大きく二通りが考えられる。
 1.天地の厚みを同じになるように切断(以降「平行切り」という)
 2.天と地の厚みを変へいわゆる「櫛形」に切断

どちらにも長所短所が有りどちらが良いかは一概にはいえない
 私は、木取りの自由度が高い「平行切り」を採用している。

左図はみかん割りから板木地に切り出す順番を図示した物である。

 

実際のみかん割りについて

みかん割りにする意味は出来るだけ柾目を多く取るための切断方法である。欠点は材料の無駄が多い。

左の写真は、根っ子を約40mm厚の輪切りにしたものをみかん割りにしているところであるが、年輪の中心があまりにも片寄っていたため上図(5.みかん割〜板木地作成のイラスト)のような綺麗な形のみかん割りに出来ない。

このように年輪の中心が片寄っている場合も、柾目を多く取るために年輪と鋸刃が直角になるように切断するのが「こつ」である。

 

板木地への切り出し

左の写真は、切断位置を鉛筆で記し、切断し始めた所である。(通常の作業では切断位置の記入はしない)

 

「平行切り」では丸鋸の刃はベンチ台に直角にセットし、切断作業では材料を一回ごとに天地をひっくり返す必要もないので作業は単純である。

 

左手で押さえている茶色の物は厚さを揃えるジグで私は2種類(11mmと9mm厚用)用意している。

板木地加工

1.板木地加工では、突き当てジグを使うので最初に切れる厚みを調整する。

 

 私は、11mm厚に切れるジグ(大)と、9mm厚に切れるジグ(小)の二種類を使い分けている。

 最初に試し切りをして厚みの確認をする。

 ノギスでの厚さチェック。このジグ(大)では、11mmになるまで調整する。

 11mmに調整できたら、念のため9mm厚に切れるジグ(小)で厚さを確認する。

 さあ本番です。

1.左手でジグを押さえ、右手で材料を押し出す。

 

2.材料が歯に到達し切れ始める。

 材料が大きいので丸鋸の歯をすっぽり隠している。丸鋸の場合、歯は、作業者側に回転しているので材料が歯を通り越している状況は大変危険な状況となる。

 この写真では板木地は平行に真っ直ぐ切れているが、歯が切れなくなると年輪などに影響され平行に切れなくなる。

3.鋸歯が切れているときは表面が大変なめらかに真っ直ぐ切れる物です。

 

板木地切断完了

切断した物を元の輪切り状態に並べたところ。

板木地切断時の注意点

1.材料の切断面が長いときは切断直後の材料が反り丸鋸の刃が締め付けられる(ディスクブレーキの状態)ことがあるため材料の送り出しには充分注意すること。材料が焦げるだけではなく丸鋸が停止することもあり危険

2.鋸刃の切れが悪いと年輪にそって刃が逃げ板が厚くなったり薄くなったりするので常に切れる刃を使うこと。

☆切れない刃の使用は大変危険。使用しないこと!

 

 暫く切ると鋸歯に樹液で木の粉が付着し切れ味が悪くなる。そんな時は、ぬれ雑巾で歯を拭くと綺麗になる。

 写真は、あまりお奨めできないが、ワイヤーブラシで大ざっぱに汚れを落としているところである。理由は、こんなに汚れた歯を濡れぞうきんで拭くと直ぐに雑巾が汚れてしまういしょっちゅう雑巾を濯ぐことになる。しかし、ワイヤーブラシを使うことは、歯の部分に当たると歯を痛めるおそれがあるのでお奨めは出来ない。この後ぞうきんで拭き取る。

 孔雀の板木地

 薄虎斑の板木地

 根杢の板木地

 根杢の一種で縮み杢

 根杢の一種で虎杢

 根杢の板木地

 


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